日本経済:米国経済:米国が駆け込んだ輸入相手国とは~日本への恩恵は限定的~
2025年1-3月期は日米ともにマイナス成長
25年1-3月期の実質GDPは、日米ともにマイナス成長となった。日本では、物価高による個人消費の停滞と純輸出の減少が重なり、景気は既に減速している様子だ。他方、米国では、トランプ政権による関税引き上げを見越した駆け込み需要が在庫投資を押し上げたが、その分、(控除項目である)輸入の急増がGDP全体を押し下げ、3年ぶりのマイナス成長となった。注目すべきは、米国の輸入急増にもかかわらず、日本の輸出は限定的な伸びにとどまり、米国の駆け込み需要の恩恵を十分に享受できなかった点である。
米国が関税引き上げ前に駆け込んだ相手とは?
25年1-3月期に、米国が輸入を急増させた相手国は以下の図表の通りである(※輸入額の水準ではない点、留意)。医薬品を中心にアイルランドが突出して大幅に増加したほか、台湾、ベトナム、メキシコなども増加した一方、日本からの輸出は伸び悩んだ。背景には、日本企業が既に米国やUSMCA域内に生産拠点を移していたことがあると考えられるが、同時に日本製品の競争力低下という可能性も否定できない。今後の動向を注視していく必要があるだろう。
この間、4月の貿易統計では、自動車の輸出価格が前年から下落したことなどを背景に対米輸出額が減少に転じており、関税引き上げによるコストを企業が一部負担している可能性も示唆される。通商交渉では、相互関税のみならず、自動車や鉄鋼・アルミ関税を含む包括的な関税率の引き下げが求められる(詳細はレポートをご覧ください)。
(図表)米国の25年1-3月期の財輸入額前年同期比・国別寄与度