日本経済:設備投資の伸び悩みの背景を考える~コストの上振れが阻害要因に?

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最終更新日: 2025年3月21日

計画対比で伸び悩む設備投資

 GDPの実質設備投資は、四半期毎にプラスとマイナスを繰り返す一進一退の状況が続いており、(名目ベースとは言え)短観における強気な設備投資計画と比べて物足りなさがある。この間、先日、財務省・内閣府から発表された法人企業景気予測調査の2024年度設備投資見込みも前年度比+7.4%と、製造業を中心に下方修正されている。

企業が想定するデフレータが実勢に比べて低い~デフレノルムが残る?~

 設備投資の伸び悩みの一因として、企業が想定するデフレータの低さが挙げられる。本稿では、2月に内閣府から公表された企業行動に関するアンケート調査を基に、企業が想定するGDPデフレータを試算した。その結果、企業の想定するデフレータが実勢を大きく下回っていることが分かり、特に設備投資デフレータと比較すると乖離幅が大きい(図表1)。 
 この結果、事業計画上で想定するコストよりも、実勢のコスト上昇幅が大きいため、投資採算が悪化し、計画の縮小や見直しを迫られるケースが増加していると考えられる。実際、法人企業景気予測調査では、「設備投資にかかるコストの変化」が、大企業では投資計画の乖離理由として最も大きな要因となっている(図表2)。  

(図表1)企業が想定するGDPデフレータ

  (図表2)計画と実勢の乖離理由(大企業)

 

経路依存が残る企業の事業計画~金利上昇とのトレードオフが課題~

 企業の物価見通しは、徐々に上方修正され、日本銀行の物価安定目標である2%程度までアンカリングされつつある。この間、日銀は、金融政策の正常化を開始してちょうど1年が経過するが、今後も緩和度合いの調整の範囲内で利上げを継続する姿勢を示しており、今後は金利上昇による資金調達経路を通じた設備投資への影響も予測される。
 インフレ上昇と金利上昇というトレードオフの状況下、企業の設備投資計画の実現性については、より慎重にみる必要があるだろう(詳細はレポートをご覧ください)。
 

日本経済:設備投資の伸び悩みの背景を考える~コストの上振れが阻害要因に?~(494KB)(PDF文書) 

 

 

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