2025年国勢調査を前に ~期待される回答率向上とデータ精度向上への取り組み~< 2025・5・19 >
2025年は、国勢調査の実施年
今年は、5年に一度実施される国勢調査の年に当たります。同調査は、我が国に居住する全ての人を対象として実施する国の大変重要な統計調査であり、1920(大正9)年から終戦直後を除いて5年ごとに実施され、2025年の国勢調査は22回目になります。
国や地方自治体の政策決定や予算配分にも影響を与える重要な統計調査であるため、継続的かつ正確なデータの蓄積が求められます。
低下傾向にある回答率と膨れ上がる不詳データ
こうした重要な調査ですが、近年、さまざまな課題が散見されるようになってきました。その1つが回答率の低下です。背景には、プライバシー保護に対する意識の強まりや、一人世帯や共働き世帯の増加などにより、昼間に不在の家庭が増えたことなどの影響が考えられています。これに対し2015年調査からインターネット調査を導入し、20年調査では改善の効果もみられました。ただ、インターネット調査の導入により、年齢など属性の「不詳」の増加という課題が目立つようになりました。
国勢調査は長年、調査員が各世帯に調査票を配布、取集する際、調査員が調査票の記入状況を確認し、未回答や誤回答のチェックが行われ、不詳の発生も抑えられてきました。ところがインターネット調査の導入により、回答率の改善はみられたものの、年齢や国籍などの未回答による属性情報の不詳の問題は逆に大きくなっています。
実際に年齢が不詳の人口(以下、不詳人口)は、この20年間で大幅に増加しています。2005年に国内の不詳人口は48万人で不詳率は0.38%程度でしたが、直近の2020年には293万人と同2.32%まで膨れ上がっています。また長野県も同様に05年の不詳人口は1,445人(同0.07%)と低水準でしたが、20年には39,767人(同1.94%)まで増加しています。
期待される新たな不詳補完の取り組み
このような年齢を始めとした属性の不詳の増加は、自治体の政策立案の基礎データにも大きな影響を与えます。少子化や子育て、介護などの現状把握、見通しなどの時系列での分析に大きな誤差が生じ、効果的な政策や対応が弱められる懸念があります。
こうした中、国では国勢調査を利用する利便性を図るため、主な調査項目の集計結果に含まれる「不詳」をあん分等によって補完した不詳補完値の公表を始めています。さらに最近では、個票データレベルでの補完ができるCANCEISなど海外で利用されている補完システムの検討も進めており、さらなる精度向上が期待されています。
国の基盤となる統計調査がしっかりとした信頼の下で利用できるよう、地域に暮らす1人ひとりの理解と協力のもと、不詳補完なども整備されていくことが求められます。
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