北陸新幹線敦賀延伸を契機とした長野・福井の新たな連携<2025.3.24>
北陸新幹線敦賀延伸から1年
2024年3月の北陸新幹線・福井県敦賀延伸からちょうど1年を迎えました。この1年の間に、さっそく福井県へ新幹線で足を運ばれた方も多いと思います。このように長野と福井の往来がしやすくなったことを機に、両県の間でさまざまな交流や結びつきが生まれています。そこで今回は、観光やビジネスの面で新たに動き出した長野と福井の連携の取り組みを2つ紹介します。
観光をテーマとした広域連携
24年3月、軽井沢町の軽井沢観光協会と福井県坂井市にあるDMOさかい観光局は観光連携協定を結びました。軽井沢は首都圏からの観光客や別荘利用者が多いことで知られますが、一方の坂井市は福井県の北部にあり、東尋坊などの観光名所や越前がに・甘えびなど豊富な海産物が有名です。また、隣のあわら市には「関西の奥座敷」とも呼ばれる名湯あわら温泉があり、地域一帯は昔から関西・中京から多くの観光客が訪れていました。こうした中、坂井市の最寄りに新たに新幹線の「芦原温泉駅」が開業し軽井沢と直接結ばれたことを受け、今回の連携を機にそれぞれのエリアを訪れる観光客にさらに足を延ばしてもらおうと期待を寄せています。
主な連携の取り組みとして、坂井市の食材を軽井沢の農産物直売施設・発地市庭(ほっちいちば)で販売するイベントがあります。これまでに3回開催され、福井県のブランド牛・若狭牛や越前がに、焼き鯖寿司などの販売のほか、新鮮な甘えびの「詰め放題」といった催しも行われ大盛況となりました。他にも、坂井市など福井県の旬の食材を用いた特別メニューを軽井沢のホテルで提供するイベントも定期的に開催され、参加者から好評を博しています。
今後は、軽井沢周辺の農産物や日本酒・ワインといった特産品を坂井市で紹介するイベントを企画するなど、両県において幅広い情報発信を行い誘客に取り組んでいきたいとのことです。
繊維分野における産学連携
次は、信州大学繊維学部と福井県繊維協会によるビジネス面での連携です。福井県は、古くから国内有数の繊維産地として知られ、現在もナイロンやポリエステルといった合成繊維産業が盛んで、福井市に本部を置く福井県繊維協会はその中心となる業界団体です。近年、繊維業界でも脱炭素経営や、使用するエネルギーや化学物質などの量を開示するといった環境分野の対応が中小企業にも求められるようになってきました。そこで、24年3月、福井県繊維協会は上田市の信州大学繊維学部と、繊維事業における今後の環境対応を踏まえた共同研究や新規市場開拓、人材育成等につなげる3カ年計画の産学連携プロジェクトを開始しました。
連携初年となった24年は、福井市と上田市で信州大学の教授などによるセミナーを実施し、繊維学部の研究内容や福井県の繊維企業が抱える課題などを共有して相互理解を図りました。上田市で開催した際には、福井県からの参加者が繊維学部の有する産学官連携拠点施設を見学し、最先端の研究設備や同施設に入居する企業の産学連携の取り組みについて理解を深めました。
2年目以降は、福井県内の繊維事業者と繊維学部の研究者の直接的なディスカッションの機会を増やすほか、上田市を連携拠点にすることで、これまで福井県との関係が希薄だった首都圏の企業にも連携への参加を促すなど、信州大学が持つ人脈やハブ機能とともに新幹線延伸による移動時間短縮効果も生かしながら、さらなる連携強化に取り組みたいとしています。
沿線の価値向上や地域活性化に向けて
今回紹介した事例のように、新幹線の延伸開業を機に長野・福井両県にはさまざまな接点が生まれていますが、今後はこれを絶やすことなく、いかに持続的な関係を構築できるかが大切です。それぞれの地域が有する強みや魅力を生かしながら連携の成果を少しずつ積み上げ、北陸新幹線沿線の一体感を醸成していくことで、幅広い観光誘客やビジネスの拡大に寄与し、沿線の価値向上や地域活性化につながっていって欲しいと思います。
なお、今回取り上げた連携事例の詳細は、経済月報2025年3月号掲載のトピックスレポートで詳しくご紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
2025年3月24日放送 SBCラジオ「あさまるコラム」より
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