大手の「賃上げ」に負けない中小企業が創る働きがい<2025・03・14>
 

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最終更新日: 2025年3月14日

長野経済研究所「賃上げに関するアンケート調査」にみる2025年度賃上げ

 長野経済研究所では、今年の1月に県内企業に対して「賃上げに関するアンケート調査」を行い、約300社から回答を得た。

 まず、25年度の賃上げ見通しについて、「実施予定」は53%、「検討中」は28%と合わせると82%、およそ8割の企業が賃上げの方向だ。

 多くの企業が賃上げを予定しているが、その理由についてたずねると、「従業員の定着」が89%、「従業員の確保」が82%と、近年の人手不足への対応が主な理由のようである。

 企業にしてみるなら、確かに、人材の確保や定着のためには、賃上げは「いの一番」に必要だ。

 ただ、それだけでは十分ではない。

 求職者からしてみると給与が高いことは、当然に企業選定の重要なポイントだが、それだけではない。

 昨年春に当研究所が新入社員研修参加者629名を対象に実施した「新入社員意識調査」によれば、「今の会社を選んだ理由」としては、「仕事に魅力がある」が最も多く、次いで「会社の雰囲気が合う」「自分が成長できる」などの結果となった。

 当然と言えば当然であるが、「給与が良い」は9位と企業を選ぶ理由としてはそれほど高くない。

 また、「社員の定着のために効果があった取り組み」、つまり「辞めないための取り組み」も当研究所の過去の調査によれば、「育児・介護休暇」や「短時間勤務制度、フレックス制度」など「働きやすさ」につながる取り組みや、「公正な人事評価」や「研修等の人材育成制度の充実」「表彰制度」など「働きがい」につながる取り組みが高い回答割合となっている。

 要するに、人手不足に賃上げは必要だが、十分条件ではない。

県内中小企業が負けていない、働きやすさと働きがい

 アンケートの他に、実際に離職者が少なく、人員もほぼ適正を保っている県内の中小企業に赴くと、それを可能とする取り組みが見えてくる。

 例えば、「働きやすい職場づくり」のためには、先の「育児・介護休暇」始め「短時間勤務制度」の整備はもちろん、それが「実際に使われている」。

 そして、「コミュニケーション」をよくするための取り組みに力を注いでいる。

 具体的には、定期的に経営層と社員が面談を行って、意見を聞いて、出来ない事もあるが、出来る事は迅速に対応をしている。ゆえに、経営層と社員の信頼関係が厚く、距離が近い。

 また、定期的に飲み会や社員旅行を行い、各々が本音で語れる関係を築いている。会社が何でも言い合える場所であり、会社には敵ではなく、「仲間」がいるという事になれば、辞めようがない。これが働きやすさの基本ではないか。

 また、「働きがい」について気付いた共通点は、以下の5つ。

 まず、「褒め合う事」。これが定着している会社は、社員のモチベーションが高い。契約が取れれば、都度朝礼や夕礼などで褒め合う。

 2つが「表彰制度」。定期的に表彰式を行い、全員でそれぞれを認め合う。

 3つが「提案制度」。社員が常に仕事のことを考え、提案が成果につながれば、仕事への関心も高まる。となれば「自分の会社」という帰属意識が高まる。

 4つが「人材育成」。これは会社が各社員に期待を寄せているというメッセージとなり、社員のエンゲージメントを高める。教育は社員の能力を伸ばすことから、仕事をやって楽しいということに繋がり、仕事の効率もあがる。

 5つが「公正な評価制度」。これはとても重要だ。仕事で成果が上がったなら、それをしっかりと評価をし、賞与や昇給・昇格などで報いる事だ。これがないと優秀な人材からやる気をなくして辞めてしまう。

 このように、賃上げは必要だが、それだけで大都市圏の大企業には負けてしまう。それだけではなく、大企業にはまねのできない中小企業ならではの「働きやすさ」と「働きがい」を今一度見直し、しっかりとPRすることが効果的な人手不足対策になるのではないか。

(初出)SBCラジオ 飯塚敏文のあさまるFriday 2025・3・14放送

 

 

 

 

 

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