「りんごレザー®」でゼロエミッションを~(株)SORENA<2025・02・17>
 

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最終更新日: 2025年2月17日

リンゴ残渣からレザーを開発

 株式会社SORENAは、バイオマス素材事業のほか、グッズの製作やデザインなどを手掛けるスタートアップ企業だ。バイオマス素材の中でも、リンゴの残渣(搾りかす)を活用して開発したレザーは日本初の素材となっており、それを使って製作したハンドバック(RERIGOブランド)が人気だ。

 「りんごレザー®」は、シードルやリンゴジュースを製造した後の「搾りかす」を、すり潰し、乾燥させ、粉砕機で粉末化し、それをポリウレタンなどと混ぜ合わせ仕上げる。リンゴ残渣の粉末を使うことで、ポリウレタン使用量は従来の2/3程度で済む。

 開発に当たっては、長野県工業技術総合センターなどの協力の下、配合割合や水分量などの微調整を繰り返し、耐水性や強度は従来のレザーに劣らない高いクオリティを実現している。

廃棄される果実に心を痛め

 伊藤社長が「りんごレザー®」を作ろうとした背景には、1つに前職の果物加工会社でのフードロスに強い問題意識を持ったことにある。輸送中に傷んでしまった果物の多くが、使われることなく廃棄物として処分されていた。

 もう1つが2019年の台風19号災害だ。台風による暴風雨で傷がついてしまい、廃棄せざるを得なくなったリンゴや、それにより落胆する生産農家を目の当たりにした。

 「自分にできることは何か」「何かできるのではないか」と考えた末に、搾りかすである残渣を使い、ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を実現する「りんごレザー®」の開発に漕ぎ付いた。

イスの表皮材に「りんごレザー®」

 「りんごレザー®」をイスの生地に使おうとする試作品作りが、伊那市のタカノ(株)で始まっている。

 同社では、半世紀以上前から作っているイスに新たな価値を加え、再び蘇らせようと模索を重ねていた。「りんごレザー®」に出会ったのはそうしたタイミングだった。「りんごレザー®」を使った製品を出展した展示会で、開発メンバーの1人がそれを見つけ「長野県産のりんごの残渣を使ったレザーがあるみたいだ」とチーフに伝えた。

 長野県にある会社だからこそできることではないかと、イスの表皮材に使うことにした。結果、非常に丈夫で柔らかい「リンゴレザーのイス」の試作品1号が誕生した。

伝統工芸品内山紙に

 伝統工芸品の内山紙も、リンゴ残渣の粉末を混ぜ込むことで生まれ変わろうとしている。不易流行の言葉が示すように、古くからのモノは強みを生かしながら、世の中の時流を汲んだ革新が生き残りのためには必要となる。

 通気性・通光性・保温力・強靭性が特徴の内山紙に「環境配慮」「ゼロエミッション」という付加価値が付く意味は大きい。

 現在は、楮(こうぞ)100%を原料として作ってきた工程に、どのぐらいの割合でりんご残渣の粉末を混ぜ込むのがベストかを探っている段階だ。

 これも試作品は既にある。リンゴ残渣が紙の表面に凸凹を作っているが、和紙としての風合いがより強調されている。

今後の抱負~地域ブランドに

 「りんごレザー®」からは、ハンドバックのほか、バレー用シューズや財布、キーケースなどさまざまな製品が出来上がっている。これに加え、先のイスや紙などインテリアや雑貨などに使途が広がる可能性は大きい。

 廃棄されるリンゴも多い分、その受け皿となるには多様な使途が必要だ。それらが揃って初めて、ゼロエミッションや工業製品における石油由来成分の抑制も成し遂げられるだろう。

 「りんご産地ナガノを思い起こしてもらえる地域ブランドにしていきたい」。
 伊藤社長は、今後の抱負について語ってくれた。


(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2025年2月16日放送)

 

 

 

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