森永卓郎さんを偲んで<2025・02・14>
森永さんの思い出~フルスイングの人生
経済アナリストの森永卓郎さんが1月28日に亡くなられた。
謹んでお悔やみを申し上げたい。
森永さんとはSBC信越放送での正月番組「新春経済特番」にて、2012年から21年迄の10年間共演したのがご縁だ。
ユーモアが大好きでテレビでもバラエティ方面のご活躍も多かったため、優れた経済学者であり、社会への問題提起を山のようにされてきたという側面を知らない人が意外に多いかもしれない。
改めて森永さんの履歴の一端をご紹介すると、2000年にニュースステーションで久米宏さんのコメンテーターとして4年、それがきっかけになって経済アナリストという肩書で様々なメディアに登場するようになった。それまでは、UFJ総合研究所という都銀系シンクタンクで、部長として国などからの仕事を受け経済予測などの仕事をされていた。2006年からは獨協大学の経済学部教授に就任され、日本経済の失われた30年の原因の究明などに関する著書を多く出版され、教育者としても尽力された。
このように実は大変にアカデミックな方で、抜きんでた能力をお持ちの方だった。2013年の「新春経済特番」は、第2次安倍内閣が誕生したタイミングだった。その際に森永さんは「アベノミクスを受け、今年の株価は間違いなく上がるでしょう」と話された。その年は実際に年初11,000円位だった日経平均株価が、12月末には16,000円台と1.5倍になった。
さらに森永さんはSBCラジオで番組も持たれていたが、とある収録では6回分の番組を一気に話され、かつ「落ち」まで付ける、と言う奇才ぶりを発揮されていたようだ。
この背景には森永さんの並外れた仕事振りがある。仕事が大好きで、やり始めるととことんやってしまう性分で、多分日々の睡眠時間は3時間程度ではなかったかと思う。「新春経済特番」の収録の際にも、徹夜明けと思われる日も多く、何度か一瞬だが寝落ちしまうというハプニングもあったぐらいだ。
人生を楽しむ達人、その極意を著書で伝授
もともと私と森永さんの関係は、SBCでご一緒する前から私がその著書に親しむファンであった。家の本棚には、「シンプル人生の経済設計」とか「モテなくても人生は愉しい」など今から20年程前に書かれた著書が並んでいる。どれも人生は愉しく生きるもので、サラリーマンとしてコップの中での争いなどに汲々としていたのでは如何にももったいない。一度しかない人生なんだ。懸命に好きなことをして謳歌せよというメッセージだった。
森永さんは、一昨年に医師からのガン宣告を公にしてからも「いつ死んでもいいとは思っていないが、延命にはこだわっていない」というのも「いつ死んでも悔いのないように生きてきたし、今もそうして生きているから」「やりたいことは、すぐにやり、必ずやり、全てやってきた」と話されている。
没頭することで人は幸せになるようだ
余命を宣言された森永さんからは悲壮感というものは全く感じなかったが、それは、こうした生き様で、やることに対して徹底して「没頭」してきたからではないか。私は森永さんに多くの事を学んだが、1番はこの「没頭」をするということの重要性のように思う。
「幸福学」を研究している慶応大学の前野隆司教授も、幸福体質になるための一つの要因として、「没頭できる仕事をする」を挙げている。やりたいことを全てやりきることは難しいかもしれないが、仕事に「没頭」することは凡人の私でも多少はできそうだ。
そして最後にもうひとつ。亡くなられる直前に「今は最大のバブルにあり、それが弾けると日経平均は3,000円になってもおかしくはない」と強く訴えられていた。確かに、昨今の世の中の不安定さとは別に高騰を続ける株価をみるなら不安感が募る。
2025年はそれなりの「身構えが必要だ」と教えてくれたように思う。
(初出)SBCラジオ 飯塚敏文のあさまるFriday 2025・2・14放送
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