2025年の長野県の経済展望~内需を中心に拡大が続く~<2025.1.22>
2025年の日本経済は、成長スピードを高める見通し
主要シンクタンクの予測をもとに当研究所が独自集計した2025年度の日本の実質経済成長率の見通しは、前年度比+1.1%と、2024年度の同+0.4%から成長スピードが高まる予測となりました。この背景の1つに、個人消費の増加が挙げられます。人手の確保や物価高への対応のほか、底堅い企業業績も加わり雇用者所得の改善が見込まれています。また、デジタル化・省力化投資の進展による設備投資の増加も押し上げ要因となる見通しです。こうした内需の増加に加え、欧米における金融緩和策の効果が徐々に波及して輸出も改善し、総じて景気の回復が続くと見込まれます。
2025年の長野県経済は、内需を中心に拡大が続く
長野県も全国同様に個人消費と設備投資の内需を中心に景気の拡大が続くとみられます。個人消費は、実質賃金の改善を背景に増加するとみられます。堅調な企業業績と慢性的な人手不足から賃上げ機運が維持される中、所得環境は改善が続くとみられます。こうした中、物価上昇率が鈍化することで、実質賃金が増加し個人消費はプラス幅を拡大する見込みです。内需のもう1つの柱である設備投資は、24年度に海外経済減速の影響で先送りとなった投資や、省力化・合理化投資といった生産性向上のための投資などの下支えもあり、25年度は、前年度のマイナス成長からプラス成長に転じる見通しです。このほか、住宅投資、政府消費もプラス成長を維持するとみられます。
当研究所が推計した25年度の長野県の実質経済成長率は、前年度比+0.8%と、24年度の同+0.1%からプラス幅を拡大する見込みです。
リスク要因は米国の政策や中国市場の動向
最後に、25年の長野県経済をみる上でのリスク要因について国内、海外別にみてみます。国内は、賃上げが物価上昇に及ばない場合には、消費者マインドの悪化による個人消費の下押しにつながることが懸念されます。さらに、建設業やサービス業等を中心に人手不足に伴う機会損失の拡大も、県内景気の回復スピードを鈍化させる恐れがあります。
海外は米国のトランプ次期大統領が行う通商政策による米中貿易摩擦等の再燃や、長期化するウクライナ戦争・中東紛争など地政学リスクの高まりが世界経済に悪影響を及ぼすことが挙げられ、1月20日の大統領就任以降の政策が注目されます。また、中国の不動産市況の低迷も中国経済を下押しし、輸出が伸び悩むことも懸念されます。
(初出:2025年1月21日付 南信州新聞「八十二経済指標」)