2025年経済見通し、確実なことは人手不足が続くこと<2025・01・17>
2025年長野県経済は緩やかな回復
2025年の長野県経済は、内需の拡大を背景に緩やかな回復をすると見込まれる。
長野経済研究所で推計した25年度の実質経済成長率は+0.8%となった。
牽引役となる内需は、個人消費と企業の設備投資だ。
個人消費は、人手不足対応のための賃上げが引き続き実施されることから所得が改善されていく。一方の物価は昨年に比べ落ち着いてくると見込まれ、個人消費は増加することが予測される。
企業の設備投資は、昨年、海外経済減速の影響から先送りになった投資や、人手不足に対応するための省力化・合理化投資などにより増加する見通しだ。
こうして見てくると、個人消費も企業の設備投資も共にその増加の要因が人手不足であることが分かる。
2025年の経済予測の中で唯一確実なことは、人手不足が続くということだ。つまり、この問題への対応が経済の良し悪し以上に企業の業績を左右する。
採用では自社の理念や魅力を熱く伝えること
そうした問題意識から当研究所で新春座談会「長野県内企業は人手不足にどう対応するのか」を行った(弊所機関誌「経済月報」2025年1月号に掲載)。
メンバーは、弊所の山浦愛幸理事長の進行で、製造業からは伊那市でめっき加工業を営むサン工業(株)の川上建夫社長、非製造業からは松本市で(株)明神館を経営する斎藤忠政社長、そして人事系コンサルを長年に渡って務める長野市出身の中川美紀さんの4名だ。 採用の取り組み方法や離職防止、働きがいなどについて語ってもらった。
まず、採用について、サン工業(株)では10年以上前から、社長自ら人事部長と地元の高校に行って関係を密にして、自社を理解してもらってきた。その結果、就職担当の教諭から「この子ならサン工業で活躍し幸せになれる」と生徒を推薦してもらえるようになっている。
中川さんは「サン工業のように企業のトップや会社のエース級人材が先頭に立ち、それぞれが自身の言葉で自社の理念や魅力を1人でも多くの生徒に伝えることが重要」と話された。
「我社はこれ程に魅力的な仕事をしており、君の人生をかけるに相応しい会社だ」など自信を持って熱く、学生にアピールすることが重要だ。
社員の定着には、円滑なコミュニケーションが肝
(株)明神館では、従業員とのコミュニケーションの重要性を強調された。「旅館業は勤務時間帯がバラバラで、施設が離れて複数あるので、20数年前から社内SNSを使って、各社員の取り組みや頑張りが全員に分かるような仕組みを作った。さらに定期的な面接を行ったり、困りごとや働きづらさなどを知るためのアンケートも定期的に実施している」。社員の定着のためには、社員の不満や本音を知り、対応することが欠かせない。
中川さんからは、管理職からコミュニケーションを取ることで成果を上げた企業の事例が紹介された。「コンサルを行った企業で、『課長から声をかけてもらえない、気にかけてもらえてない』という不満の声があったため、その課長に『全メンバーに1日1回は声を掛ける』という行動変容をお願いしたところ、3カ月でチームの雰囲気がガラリと変わった」、「トップや管理者は社員とランチを共にしたり、コーヒー片手にお喋りなど、些細な事だがメンバーに寄り添うことが大切です」。
社員のやる気に火をつけ、生産性向上を
(株)明神館では、地域のためにマツモト建築芸術祭などボランティア的な取り組みに力を入れている。それがメディアなどで伝えられると社員の親御さんから「いい会社に入って良かったね」と言ってもらえ、それが社員のモチベーションアップにつながっている。
サン工業(株)では、高いめっき技術を持った社員が多いため、取引先に良い提案をし、喜んでもらうことが働きがいにつながっている。
「働きがいは、社員が主体的に取り組める仕事を増やし、面白さ、やりがいを作り上げていくことや、頑張る人や挑戦する人を公平に評価して報酬とチャンスを与えることで高まります」「仕事の割り振り、評価や報酬、キャリアパス一連に個人の志向や貢献を確かに反映させることが、社員のモチベ―ションアップと組織力の向上につながります」。中川さんからのメッセージだ。
2025年、人手不足を補うことは無論必要だが、それ以上に社員一人一人のやる気に火をつけ、生産性を向上させることが求められている。
(初出)SBCラジオ あさまるコラム 2025.01.17放送
関連リンク
産業調査
電話番号:026-224-0501
FAX番号:026-224-6233