年末の消費動向調査から2024年を振り返る<2024.12.23>
年末恒例の消費動向調査
2024年も早いものであと1週間余りとなりました。今回は、毎年恒例で長野経済研究所が年末に県内の約3千世帯を対象にインターネットで実施している「消費動向調査・年末調査」の結果を中心に、今年1年の出来事や景況感などについて振り返ってみたいと思います。
長野県の今年の漢字は2年連続で「苦」
まずは、「今年を表す漢字一文字」です。全国では金メダルや政治の裏金問題などの「金」が1位でしたが、長野県内では「苦(くるしい)」が1位となり、2位が「高(たかい)」、3位が「耐(たえる)」でした。ちなみに、「苦」は2年連続の1位となり、「高」も昨年は4位、「耐」も昨年は2位と、いずれの漢字も昨年に続いて上位になりました。物価高などの影響もあり、苦しい生活に耐えているといった受け止めが多いようです。
次に、今年1年で印象の強かった出来事を尋ねると、1位は「1月1日にM7.6の能登半島地震発生」で、8割以上の方が回答されました。元日に家族そろって穏やかな新年を迎えていた矢先に突如起きた災害に大きな衝撃を受けた方が多かったと思います。2位は「大谷翔平、メジャー史上初の50-50を達成」で5割、3位は「令和の米騒動」で3割という回答結果でした。以下には、県内のガソリン価格の高騰や首都圏で頻発する闇バイト強盗事件、自民党派閥の裏金事件など我々の生活やお金に関わる話題が上位になったほか、石破首相誕生や衆議院選挙、米大統領選のトランプ氏勝利といった国内外で大きな動きのあった政治関連の出来事にも多くの関心が集まりました。
一方でスポーツなどの明るい出来事は、上位では2位の大谷翔平選手以外に12位にパリ五輪で日本が獲得した金メダル・メダル総数とも海外大会の最多を更新した話題が入ったのみで、印象に強く残る明るいニュースが少なくやや寂しい結果になりました。
今年の景況感は改善に至らず
今年の「世の中の景気」について聞くと、「悪かった」が26.7%、「やや悪かった」が35.7%となり、合わせて6割を超える方が景気は「悪化した」と回答しました。ちなみに、昨年も同様に6割の方が「悪化した」と回答していましたので、多くの企業で賃上げが行われた一方で物価の上昇や高止まりなどもあり、県民が感じる景況感は改善に至っていないとみられます。
来年の景気見通しについては、「良くなる」、「やや良くなる」の改善を見込む回答が約1割、「変わらない」が約4割、「悪くなる」、「やや悪くなる」が合わせて約5割となり、現状維持もしくはさらなる悪化を見込む声が大半を占めました。こうした背景には、世界的な政治・経済の不透明な状況や長期化する海外の軍事衝突に加え、物価の高止まりの継続や痛ましい災害・事件など、私たちの生活に関わる不安要素が数多くあることが考えられます。
来年の県内経済は観光に期待
来年の長野県経済にとって明るい話題となりそうなのは「観光」です。特に海外からのインバウンド旅行者は順調に回復しており、政府観光局によると2024年の国内全体の訪日外国人客数はコロナ禍前の19年以来5年ぶりに3千万人を超え、過去最多を記録しました。25年はさらに増加し、4千万人を超えるとも言われています。県内を訪れる外国人旅行者も増加し、旅客・宿泊・飲食などのサービス業を中心に需要の拡大が期待されます。
さらに来年、長野県が全国から旅行者を呼び込む話題として、4月に公開される劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)」の舞台が長野県になることも挙げられます。24年に公開された劇場版コナン「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」で同じく舞台になった北海道函館市には全国から作品の聖地巡礼を楽しむファンが押し寄せており、来年は長野県内でも同様の光景が見られるかもしれません。
苦しい状況を乗り越え、2025年が明るい話題にあふれる1年になることを願います。
2024年12月23日放送 SBCラジオ「あさまるコラム」より
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