堅調な設備投資と今後の行方

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最終更新日: 2024年12月27日

 

2024年度の設備投資は堅調さを維持

 当研究所は、長野県内企業の設備投資の動向を調査する目的で約600社を対象に「設備投資動向調査」を年2回実施しています。4月は年度の当初計画を調査し、10月は年度の実績見込額と当初計画に対する修正状況を確認しています。                                                        

 県内の設備投資は、24年度も引き続き堅調とみられます。今回の11月調査では、24年度実績見込額については、全産業では前年度に比べ△3.5%の減額で、4年ぶりに前年度実績額を下回る見込みとなりましたが、前年度までは2桁の伸びだったことを踏まえると、マイナス幅は小幅で、引き続き高い水準を維持したものとみられます。                     

 また、前年度との変化を企業数でみた設備投資DI(前年度に比べ設備投資額が「増加した企業割合」-「減少した企業割合」)では、全産業で+8.4ポイントとなり、前年度を上回る企業が多くなっています。 

海外景気の減速感から製造業で下方修正

 24年度当初計画に対する実績見込額をみると、足元の経済情勢から全産業の修正率は△4.0%と減額修正になりました。業種別では、製造業が△4.8%、非製造業が△0.8%と、製造業が全体を押し下げた形になっています。この理由として、製造業の海外向け投資が△14.7%と大きく、中国・欧州など海外景気の減速に伴う収益見通しの悪化から、投資を減額する動きがみられました。

今後注目されるトランプ政権の動向

 来年度の設備投資計画が決まっている企業はまだ一部ですが、参考までに回答していただいた企業の計画をみますと、24年度実績見込額比では+16.1%のプラス見通しとなっています。ただ、ここでも投資地域別では、県内向けが+17.4%となる一方、海外向けが同比△33.7%と前年度を下回る計画となっています。

 海外向けが弱含む背景の1つとして、トランプ氏の米国大統領再就任による世界経済の不透明感の高まりがあります。前回政権時には米国の保護主義化が進み、中国経済の減速が長野県内製造業の業績を下押ししました。また、その渦中となる19年10月に実施した当研究所の「米中貿易摩擦の影響に関するアンケート調査結果」では、同年度の設備投資について、変更・見直しを行ったもしくはそれらを検討する予定の割合が約2割となり、県内の設備投資マインドにも影響を及ぼしました。今後の設備投資を占う上で、米国の動向を注視していく必要があります。

                                                        (初出:2024年12月18日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

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