盛り上がりに欠ける電子部品・デバイス産業 ~生成AI関連の需要は一部に集中~
低迷する長野県の電子部品・デバイス
長野県の鉱工業指数をみると、電子部品・デバイスの生産指数は2021年をピークに右肩下がりで減少。一方、生産の動きに反比例するように、在庫指数は21年を底に23年まで右肩上がりで増加し続け、ピークは過ぎたものの足元高止まりの状態が続く。
集積回路(IC)の好調さに牽引される全国
全国の電子部品・デバイスの鉱工業指数を眺めると様相が異なる。全国は、23年を底に増加傾向にあり足元も高い伸びとなっている。長野県と全国の電子部品・デバイスの動きに乖離が生じているが、その理由は電子部品・デバイスを構成する品目ウェイトの違いによるところが大きい。
全国の電子部品・デバイスの品目ごとの推移をみると、足元では集積回路(IC)の伸びが他の品目と比較して突出して高くなっている。最も大きなウェイトを占める集積回路の好調さが、全国の電子部品・デバイス全体の堅調さに繋がっている状況とみることができる。一方、集積回路以外の品目については減少傾向、良くて横ばい圏内といったところで、力強さに欠ける。集積回路の好調さを享受できる構造にあるかどうかが電子部品・デバイス全体の差を生んでいるといえよう。
生成AI関連の需要増加の恩恵を受けない長野県
23年以降、全国と長野県の電子部品・デバイスの方向感に乖離が生じている。足元の全国と長野県の相反する動きをみると、生成AI需要の増加は長野県の電子部品・デバイス産業に恩恵を与えていることにはなっていない様だ。
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