地域公共交通の維持に向けた動き<2024.10.11>

印刷

最終更新日: 2024年10月11日

県は「長野県地域公共交通計画」を策定

 長野県内では、各地の路線バス・循環バス・高速バス・タクシーといった地域の足となる公共交通において、運転手不足や利用者の減少等を主な要因とした運休・減便の動きが相次いでいます。
 こうした状況下、2024年6月、長野県と県内77市町村は共同で「長野県地域公共交通計画」を策定しました。計画期間は24年度から28年度までの5年間で、計画区域は県内全域です。
 県内の地域公共交通を民間事業者の自助努力のみで維持していくことは困難な状況という認識の下、官民連携の下で行政の主体的な関与により、地域公共交通の維持・発展、利便性の向上を図ることを基本的方針としています。
 以下では、行政が主導し地域公共交通の維持に向けた県内の取り組みとして、松本市の事例を紹介します。
 

松本市:路線バスの「公設民営」と「エリア一括協定運行」の導入

 松本市は、利用者が減少する市内の路線バスについて、路線再編によって利便性を改善し、市民の最も身近な足として将来にわたって路線網を維持・拡充することを目指しました。そして、市がルート、運行本数、運賃などの制度設計を行い、民間事業者が運営運行を担う「公設民営」体制へと移行することとし、23年4月、公設民営バス「ぐるっとまつもと」の運行を開始しました。
 従来、民間事業者の自主路線、市街地を走る周遊バス、郊外のコミュニティバスや市営バスなどバラバラだった事業形態を一括で市がマネジメントし、重複路線の統合や交通空白地帯の解消、利用状況に応じた起終点やルートの変更に着手したほか、路線名も分かりやすいものに改善しました。
 この運行体制は、自治体と交通事業者の協定によってエリア内で一括運行する交通事業を支援する、国土交通省の「エリア一括協定運行事業」に認定されました。これに基づき、市はアルピコ交通(株)(松本市)と5年間の長期運行協定を締結し、官民連携による一体的な運行効率化を進めています。
 公設民営を開始した23年度において、全38路線中、比較可能な23路線の利用者数は計205万3千人と前年度から14.9%増加しました。ただ、コロナ前の19年度と比べると8割程度の水準にとどまっており、さらなる利用促進や観光需要の取り込みなどが課題となっています。

 

「ぐるっとまつもと」のロゴマークが描かれたバス停

※ 地域公共交通の維持に向けた動きは、経済月報2024年10月号掲載のトピックス「地域公共交通の維持に向けて」で、松本市の取り組みのほか、群馬県前橋市の重複バス路線の運行効率化や、三重県三重郡菰野町のAIオンデマンド乗合タクシーの事例を交えて詳しく紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

 

関連リンク

 

 

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233