秋のりんごレポート~飲む・食べる・使う・町おこし~<2024・09・13>
りんご王国NAGANO
いよいよ9月、秋本番だ。秋と言えば何と言ってもりんごである。
長野県は青森県に次いで全国2位のりんごの生産地であり、北信から南信まで県内中でりんごが栽培されている。
品種は「ふじ」や「つがる」がお馴染みだが、長野県果樹試験場で品種改良された長野県オリジナルの「シナノスイート」、「シナノゴールド」などもそれらに負けず劣らずの人気となっている。
今回は長野県りんごを、「飲む」「食べる」「使う」「地域おこし」の4つのシーンから丸かじりしてみたい。
その1.飲む~広がるシードル
りんごは長いこと、生食はもちろん、りんごジュースとしても親しまれてきた。
そうした中、最近はシードル作りが広がっている。当研究所機関誌「経済月報」8月号トピックス「県内で広がる個性豊かな『シードル』づくり」※から紹介しよう。
シードルも県内北は飯綱町から南は飯田市まで広がっている。
飯綱町には、北信五岳シードルリー(株)が、廃校となった旧三水第二小学校を活用し「林檎学校醸造所」を経営している。また、(有)飯綱町ふるさと振興公社でも、自社栽培した英国由来のりんごをブレンドし、外部に委託する形でシードルを製造している。
南信では、伊那市に2016年に県内で初めて開設されたカモシカシードル醸造所がある。また、飯田市には酒蔵の喜久水酒造が主に若者をターゲットとしてシードルを手掛けている。
事業者は24年6月末時点で100者を超えており、ここ5年程で倍増するなど広がりを見せている。
その2.食べる~お菓子としての逸品
県内には、りんごのお菓子も数多くある。
そのままの名前の「りんごの木」(正式名称は(株)デザートランドりんごの木)というケーキ屋さんも長野市にあるぐらいだ。
前回、このコラムで紹介したが、下伊那郡高森町でお土産の企画、製造、販売を行う(株)マツザワでは、「りんご乙女」という人気のお菓子がある。これは、飯田地域のりんご農家の摘果りんごを使った逸品だ。
りんごは一つの大きなりんごの実を栽培するために、何個かのりんごを摘果といって摘み取らなくてはならない。「りんご乙女」は、その捨てていた摘果りんごを使ったお菓子で、農家の新たな収入を生み出すことに成功している。
その3.使う~ハンドバックや財布に捨てていたりんごが大変身
捨てていたりんごは素敵なバッグにも生まれ変わっている。
(株)SORENAという長野市のベンチャー企業が、捨てていたりんごの利活用を考え、粉末化し専門のレザーメーカーとともにりんごレザーを開発し、ハンドバックや財布を作ることに成功した。
りんごレザーは、それまで使われてきたウレタンとほとんど変わらない強度や柔軟性を持つという。
環境保護、とりわけサーキュラーエコノミーの観点から大いに注目されている。
その4.町おこし~飯綱町りんごフェア・コンクール
飯綱町では、りんごを核とした町おこしの事業を行っている。
それが「りんごフェア」と「いいづなりんごスイーツコンクール」だ。りんごフェアは今年で10年を超え、コンクールは6年目となり、当研究所も応援をしている。
「りんごフェア」は9月7日(土)~2024年12月8日(日)まで展開される。
前半と後半に分かれており、前半は9月7日(土)~10月20日(日)まで飯綱町の英国産のりんごを主に使ったメニューが町の飲食店などで提供・販売される。
各店を巡るスタンプラリーも同時に実施されている。
後半は12月8日(日)までで、主にスイーツが提供される。
「いいづなりんごスイーツコンクール」は10月5日(土)の午後3時から町内の「いいづなコネクトEAST」(旧三水第二小学校)で開催される。
今年初めて一般公開をする予定で、先着50名の方には、前回大会最優秀賞作品のリンゴスイーツがプレゼントされる大盤振る舞いだ。
また過去の受賞作品の販売も予定されている。
是非、10月5日には飯綱町に出かけ、一流パティシエのりんごスイーツを堪能いただきたい。
※参考)「県内で広がる個性豊かな『シードル』づくり」研究員熊谷翔 「経済月報」(2024年8月号)
(初出)SBCラジオ あさまるコラム 2024.9.13放送
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