企業の子育て支援の現状と促進政策の動向<2024.7.12>
求められる企業による子育て支援の取り組み
少子化が進展する状況下、対策の一環として、企業による子育て支援の取り組みが求められています。国の労働力調査によると約7割が共働き世帯となり、出生割合を高めるためには、女性の子育てとキャリアの両立や男性の家事・育児への参加が不可欠で、そのための職場の理解やサポートが重要になっています。
企業の子育て支援を促進する国の政策として、2022年10月、育児・介護休業法が改正されました。子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能な「産後パパ育休」の創設や、育児休業の分割取得の制度が導入され、男性による育児休業の取得が促されました。
長野県の「雇用環境等実態調査結果」によると、17年以降の県内の育児休業取得率の推移は、女性は95%程度で安定している一方、男性は17年の5.4%から徐々に増加しているものの、女性と比べると低位にとどまっています(図表)。
国や長野県の政策が企業の子育て支援を後押し
このような状況を踏まえ、国や長野県は少子化対策をさらに強化・拡充し、企業の子育て支援の取り組みを後押ししています。国は23年12月、次元の異なる少子化対策として「こども未来戦略」を閣議決定しました。同戦略では、こども・子育て政策の課題を基に基本理念や具体的な施策を掲げ、その中で「共働き・共育ての推進」に関わる企業や職場の子育て支援策を明記しています。
長野県は24年2月、「長野県少子化・人口減少対策戦略方針(案)」を公表しました。「人口減少スピードの『緩和』」と「人口減少社会への『適応』」を基本目標に据え、取り組みの柱には「子育てと仕事の両立を当たり前にする」との項目を掲げ、取り組みの方向性を示しています。今後、同方針を具体化して市町村や経済界などと検討を重ね、24年冬頃に戦略を取りまとめる予定です。
また、県は24年6月、県のサイトで育休取得率や育休取得の取り組み等を公表する「長野県パパママ育休実践企業登録制度」を開始しました。さらに、同年7月には、男性従業員の育休取得日数に応じて中小企業等へ奨励金を支給する「長野県パパ育休応援奨励金」を新たに始めたほか、先の登録制度に登録し、かつ厚生労働省の両立支援等助成金の支給を受けるなどした中小企業に3万円を支給する「長野県パパ育休公表奨励金」も開始しました。
これらの政策等も活用しながら、若い世代が仕事や所得などを理由に出産・子育てをあきらめることがないよう、企業は積極的に子育て支援や家庭と仕事との両立に関わっていくことが重要です。
※ 経済月報2024年7月号掲載の調査「中小企業の子育て支援の取り組み」では、県内外の中小企業における子育て支援や働き方改革の事例を通じて、仕事と育児の両立に向けた職場環境づくりの方向性を紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
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